MBDの歴史

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MBDとは

「モデルベースデベロップメント」

「モデルベースデザイン」

こういった言い方をしますが、いったいどちらが正しいかはよくわかりません。

ただ、製品を企画してから販売するまでに大ざっぱに分けると

開発フェーズと製造フェーズがあります。

開発フェーズはVプロセスといわれ、上流工程、下流工程に分けると

上流工程が設計、下流工程が実験、評価となります。

開発フェーズと製造フェーズに分けた場合はMBDのほとんどが

開発フェーズで使われるのでモデルベースデベロップメントなんでしょう。

しかし、開発フェーズでも特に重要視して使われるのがVプロセスでも

上流工程の「設計」段階です。

そういう意味ではモデルベース設計という言い方が正しいと思います。

 

私の知っているMBDの歴史

日産自動車では1997年からMBDを導入しているらしいですがこの当時の

MATLAB環境を考えるとSimulinkがSimulinkという名前でなかったかも知れません。

詳しくはわかりませんが、シミュレーションのレベルでいえばMiL(Model in the Loop)

という車両、ECUハード、ECUソフトなどがすべてPC上のバーチャルな世界で実現される

シミュレーションの世界で完結していたものかと思います。

その後、モデルベース開発というのが自動車メーカー全社的に考えるようになったのが

MATLAB R13になってMATLABのデスクトップのGUIが強化されCUIからGUIで

作業が進められるようになったことが大きかったと思います。

その後さらにMATLAB R13 sp2からJMAABも立ち上がり、さらにMBD環境が強化されました。

2004年か20005年ごろにMATLAB R14が登場しTheMathWorks社としても正式に対応と言ってました。

R14とR13はさほど変わらないイメージですが特にCoder製品が強化されたと思います。

R14からはECUに実装するコードをRealTimeWorkshop(当時のCoder製品)のオートコードで書かれた

コードを実製品の数%実装して試行錯誤しながらMBDを推進する時代でした。

それとHiLsというECUをテストするシミュレーションが流行り始めました。

2005年以降はあまり詳しくないんですが、ラピッドプロトと言われる、汎用ECUでアクチュエータや

センサをつないで開発実験する手法が多くなってきています。

それとモデルベーステスティングというモデルベースで試験する手法が徐々に増え始めている印象です。

2006年以降はMATLABもR15とかでなくR2006a、R2006bというように年2回アップデートを実施するようになりました。

で、2010年後半か2011年前半にトヨタ自動車がR2010でMBDを進めるというアナウンスがありました。

半年に1度の更新するたびにすべて対応するのが大変なんでしょう。

それ以降はモデルベース開発の中でもラピッドプロトといわれる分野、よほど需要があるんでしょう、

Arduinoなど教育用の組込みマイコンに対応したラピッドプロト用のサポートツールが

提供されるようになりました。

 

最近の自動車業界

MBDは必須です。ただ、MATLABのバージョンアップにユーザーがなかなか対応できない部分があります。

半年に1度のアップデートはいいんですが、バグフィックスもあるけど新機能追加があります。

その新機能が意外とバグを持ってることが結構あります。

また、自動車に搭載されるECUが10年位前だったら10~20個くらいですが、今では多いものでは100個超える

ということです。

これはモデルベース開発の影響もありますが、ECUの通信機能が強化され高速化されたため、

今まではパラレルケーブル使っていたものが、シリアル通信を多用できるので、

軽量化ができるようになった影響が大きい。

by Cable からby Wireの時代です。

これはこれで、いいこともありますがデメリットもありますが・・・

 

MBDエンジニアの教育

10年でECUの数が数倍になりました。2倍以上です。

ではMBDエンジニアが急激に2倍にできるか?

というとなかなか難しいわけで、この分野が一番の課題かも知れません。

ここからは勝手な推測ですが、MBDもラピッドプロトまでは割と一般的になりましたが、

それを教育しようと思うと、設備が1式で・・・

高級車1台買えてしまいます。

そういったことからArduino使ったらラピッドプロトを導入しようという

事になったのかなと思います。

人手不足の解消手段というのはなかなか難しいと思います。

一つは、教育。

もう一つは、開発ツール開発です。

ユーザの使いやすいツールを開発して、シームレスな環境づくりが重要です。

ということをしても、結局MBDエンジニア不足というのは難しい問題かも知れません。

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  1. 2014 03.17

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