モデルベース開発のフェーズ

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モデル開発のフェーズ

モデルベース開発のフェーズという言い方がいいかわかりませんがその表し方は大きく二つあります。
・制御開発におけるVプロセス
・バーチャルな世界とリアルな世界のウエイト
この二つです。

この二つのうち後者のバーチャルな世界とリアルな世界のウエイトについて考えてみます。
言い方がややこしかったかもしれませんがMILS、SILS、CILS、HILSというやつです。

4つの何とかin the Loop Simulation

Vプロセスの工程にもリンクしていますがVプロセスの上流から下流工程にかけて
MILS、SILS、CILS、HILSというモデルベース開発手法を使います。

前回マツダのモデルベース開発の取り組みについて紹介しましたが、80年代後半にモデルベース開発で取り組んだときにはMILSで見通しを立てて製品開発に役立てたとありましたが、このMILSがモデルベースの一番基本的な部分で、
Model In the Loop Simulation
の略です。ミルズとかミルシミュレーションという言い方をします。

このMILSというのは完全にバーチャルな世界だけのシミュレーション技術で、シミュレーションループの中にモデルを組み込んだ手法を言いますが、単にコンピュータシミュレーションのことですので特に気にする必要はありませんがのちのSILS、CILS、HILSと対比するときに意味を成します。

という事で順に説明します。

MILS(Model In the Loop Simulation):プラント、コントローラすべてをシミュレーションモデルで構成
SILS(Software In the Loop Simulation):MILSに対して、実際のソフトウェアをシミュレーションループに取り組んだ構成
CILS(Component In the Loop Simulation):SILSに対して、自動車のATなら本物のAT本体(コンポーネント)を使ったシミュレーション
HILS(Hardware In the Loop Simulation):SILSに対して、ソフトだけでなくECUハードも本物を使ったシミュレーション

実は曖昧!何とかIn the Loop Simulation

一般的には、先に紹介した区分のシミュレーションがあります。
MIL、SIL、CILはハッキリわかりやすいのですがHILがかなりあいまいになります。
それは下記マトリクスで紹介します。

シミュレーション

シミュレーションする対象をハードウェアとソフトウェアに分けた場合はかなりすっきりしてマトリクスが構成されますが、プラントとコントローラという分け方をすると右の図の様になってしまいます。

HILのハードウェアをECU本体とみるのかシミュレーションモデルをプラントとコントローラに分けたときにプラントとみなすのかで変わってきてしまいますが、もともとECUや制御開発の観点で始まっているものなのでHILのHはECUと考えるのが普通の様です。ややこしいですね。

で、モデルベース開発を進めている会社でどういう分類しているか調べたことがあるんですが、どうもはっきりしないみたいです。今もちょっとネットで調べましたが、実は10年ほど前にも調べたことがあってその時もはっきりしないうえに、今ではPILSという言葉もありますが当時はPILSがなかったのか、あっても目立たなかったのか、あるいはHILSに含まれている様な状態です。

開発のフェーズとしてはこのマトリクスで分類して、さらに大まかにVプロセスでどのポジションで使われるかという見方があります。

Vプロセスにおける、何とかIn the Loop Simulation

ソフトウェア開発についてのみ考えてみると・・・
Vプロセスの左半分の上流の製品の企画だとか仕様決めの段階ではMILS
それが決まると、実際のソフト開発でSILS
そしてソフト開発してECUに実装しVプロセスの折り返し、ECUの評価でHILS
※ソフトウェア限定にしてCILを省いています。

わかりやすく言えば上流から下流に行くに従いシミュレーションでリアルなものを使う割合が多くなっていきます。

実は最近こんな開発フェーズの分類がある

10年前はMBDのDをDevelopmentかDesignかあいまいでした。
ですから、人によってはモデルベース開発といったりモデルベース設計と言ったりしてました。当時はモデルベース開発でも設計部分での利用がほとんどだったのでそれでOKだったかも知れません。

今ではモデルベース開発の大きな枠組みの中に
・モデルベース設計
・モデルベーステスト
・モデルベースキャリブレーション
・モデルベースベリフィケーション
こういう分類の仕方もされます。

それは、おそらくソフトウェア開発だけでなくコンポーネント開発に対象となるコンポーネント以外をシミュレーションモデルで作りこんで行われるようになったからだと言えます。
個人的には、”何でもモデルベースつけとけば”いいという感じがしてしかたありませんが・・・

まとめ

・何とかIn the Loop Simulationによる分類
・Vプロセスによるフェーズ
・モデルベース開発の中での細分化
・いろんな言葉が出てきた分だけMBDの応用範囲が広がっている

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